出典：PortaldoBitcoin 原題：Ethereumが明日新たなアップデートを取得；変更点を確認 原文リンク：

Ethereum Fusakaアップグレード徹底解説：13の改良点を総まとめ

Ethereumは今週水曜日に新たなアップグレード「Fusaka」を迎えます。これは、世界第2位のブロックチェーンが進化を続けるうえでの重要なマイルストーンとなります。創設以来、このネットワークはMergeによるPoS移行、Dencunでの「blobs」導入、多数のパフォーマンス最適化など大きな変革を遂げてきました。これらの一歩一歩が、スケーラビリティ・セキュリティ・効率性向上への長期的な取り組みを示しています。

今回の最新アップグレードもこの伝統を踏襲し、技術的調整と構造的変化を組み合わせて、ユーザーと開発者の双方に恩恵をもたらすことが期待されています。

Fusaka：スケーラビリティの大きな飛躍

Fusakaは、Ethereum史上最大規模のスケーラビリティ拡張と見なされており、特にレイヤー2ソリューションの成長によるボトルネックに直接対応します。より多くの取引がロールアップに移行するにつれて、レイヤー1で大量データを処理するための容量・速度・効率への要求が高まり、Fusakaはこの課題に対応するものです。

この提案では新たなデータ検証システムを導入し、オペレーション上限を拡大、攻撃への耐性も強化しつつ、ネットワークの分散性を損なうことはありません。

ノード運用の改善

本アップグレードのもう一つの重要な側面は、Ethereumノード運用環境の改善です。ネットワークはより軽量かつ同期が容易となり、ブロック検証も予測可能になり、悪意ある行為に対してもより堅牢になります。

これらの変化には、新しいデータ構造や料金調整、特定取引への厳格な制限、現代的なデバイスとの相互運用性を高める機能の導入などが含まれます。最終目標は、急成長するdAppエコシステム・高容量取引・直感的なユーザー体験を支えるネットワークの構築です。

Ethereum Fusakaアップグレードの13の改良点

今回のアップグレードには、異なるプロトコル層に関わる13のEIP（Ethereum Improvement Proposal）が含まれます。以下で各改良点を詳しく説明します。

1. EIP-7594 — PeerDAS

PeerDASは、ロールアップがEthereumにトランザクションバッチを送る際に使われる「Blob」の容量を拡張します。斬新なのは「サンプリング」手法で、各ノードがBlobデータ全体ではなく一部のみを保存します。これにより、ノードの規模を大きくせずとも各ブロックのBlob容量を増やせます。

2. EIP-7892 — Blobパラメータ専用（BPO）フォーク

BPOフォークにより、ハードフォークを伴わずにブロックごとのBlob数を時間とともに増やすことが可能になります。容量は1か月後に倍増し、1ブロックあたり6から最大128Blobまで段階的に拡張されます。

3. EIP-7918 — Blob基礎料金調整

現在、Blobの価格は通常1weiと非常に低く、L1ガス料金が高いときにはレイヤー2がBlobの投稿を停止します。この振る舞いにより、プロトコルは必要以上に価格を下げていました。本EIPはL1ガスコストと連動した最低保証価格を設け、この歪みを是正します。

4. EIP-7935 — 60M Gas標準上限

ガスリミットの標準が6,000万に引き上げられ、1ブロック内の取引容量が拡大されます。スループット増加により混雑が軽減され、手数料の低下が期待されます。分析によると、この変更はすでにネットワークで有効化されています。

5. EIP-7642 — ヒストリカルデータ有効期限警告

Ethereumノードは、サービス可能なブロック範囲を通知し、必要に応じてその範囲を更新し、レシートのBloomなど一部の重い要素の保存を停止します。これにより、同期時のストレージが500GB以上削減されます。

6. EIP-7951 — secp256r1プリコンパイル（P-256）

アップグレードにより、iPhoneやAndroidなど大半の現代デバイスで利用されている署名システムへのネイティブ対応が追加されます。これにより、Apple PayのようなFace ID付きウォレットなど、よりシンプルなウォレット体験が実現します。

7. EIP-7917 — 決定論的プロポーザー・プレビュー

Ethereumは次のブロック提案者を事前に確定できるようになり、L1上で信頼性の高い事前承認が可能になります。ユーザーはほぼ即時の承認を得られ、将来の提案者による保証も受けられます。

8. EIP-7825 — トランザクションごとのGas上限

現在、1トランザクションでブロック全体のGasを消費することが可能です。本EIPでは、1トランザクションあたり約1,670万Gasの上限が設定され、スパム攻撃や混雑行為への脆弱性が減少します。

9. EIP-7934 — ブロックサイズ上限（10MB）

本EIPにより、ブロックサイズに10MBのハードリミットがプロトコルレベルで設けられます。これにより、悪意ある者が極端に大きなブロックを作成することを防ぎ、DoS攻撃に対する耐性が強化されます。

10. EIP-7910 — JSON-RPC eth_configメソッド

新しいRPCメソッドにより、ノードは稼働中のハードフォークを通知できるようになります。これにより、アップグレード前の設定ミスによるコンセンサスエラーを回避できます。

11. EIP-7939 — CLZオペコード（先頭ゼロカウント）

CLZオペコードの追加により、256ビット値の先頭にあるゼロビット数を計算可能となります。これにより、コントラクトの実行コスト削減、バイトコードの縮小、ゼロ知識証明システムでの証明コスト低減が実現します。

12. EIP-7823 — MODEXPプリコンパイルの上限

MODEXP関数は暗号検証に使われますが、無制限の入力長を受け入れるためエラーを起こしやすいです。本EIPは各フィールドに8,192ビットの上限を設け、より安全に利用できるようにします。

13. EIP-7883 — MODEXPのGasコスト増加

サイズ制限に加え、MODEXPの価格設定が低すぎ、本来必要なリソースに対してコストが不足していました。本EIPは計算負荷に見合ったGas価格に調整し、濫用を防ぎます。

まとめ

この広範かつ包括的な変更セットにより、FusakaアップグレードはEthereum進化の軌跡におけるもう一つの重要なステップを確かなものとし、グローバル規模の分散型アプリケーション主要インフラとしての地位を強化します。アップグレード後は、Ethereumがより堅牢で効率的になり、業界の次なる成長波に対応する備えがより一層整うことが期待されています。